オーストラリアのスポーツクラブで働くには

来年新しくオープンするスポーツセンターから新しい仕事をいただきました。

FacebookのビジネスページであるSWAN FITNESSに、来年1月からダンスフィットネスセンターをオープンするので、うちで週3回レッスンを持ってみないか?と、突然メッセージが届いたわけなのですが、

SWAN FITNESSで投稿しているレッスン風景の動画に目を留めて連絡をくださったようでした。動画から採用を受けたのは今回2度目です。Facebookをやめようか定期的に迷うことがあるのですが、やめずにいてよかったです。そして、人にどう思われようが気にせず、しつこく動画アップを続けてきてよかったと久々に思えました(苦笑)。

ZUMBA with Mayumi

このオファーをもらったときに、この国に来てから今に至るまでの自分の環境と心境が走馬灯のように一気に浮かんできました。

いつかブログに書きたいと思っていたこのタイトルですが、オーストラリアのスポーツクラブでグループレッスンを担当するインストラクターとして働きたいと考える方の情報として、少しでも役立てていただければ幸いです。

私の担当レッスンは、ZUMBAステップ、Hip Hopですが、グループレッスンのインストラクターには共通して必要なものがあります。

まず、絶対的に必要なものは下記のとおりです(パーソナルトレーナーはこれに加えてさらに必要になるものが別にあります)。

① Certificate 3 in Fitness

オーストラリアとニュージーランドで認められるスポーツインストラクター専用の資格です。じつは私はこの資格を所持していません。いえ、正確に言うと、日本での11年のキャリアを認めてもらえ、Certificate 3 in Fitnessの一部に含まれるSISFIT309A Plan and deliver group exercise sessionというパートのみをライセンスとして所持することになりました。これは、日本でのエアロビクスインストラクターとしての知識がある人であれば、オンラインで1~2か月もあれば取得できます。履歴書を提出するたびに補足としてその旨を説明しなきゃいけない手間がかかりますが、日本や他の国ですでにインストラクターとして確立できていて長いキャリアを持っている、そしてそれをしっかり証明できるもの(私の場合、日本で取得したエアロビクスインストラクターライセンスを提示しました)を持っている人はCertificate 3 in Fitnessをすべて取得しなくても、そんな近道があります。何年以上のキャリアが認められるのかはライセンスを発行しているスクールに聞いてみるといいと思います。SISFIT309A Plan and deliver group exercise sessionは頻繁に名称が変わるらしいので、その年のものをしっかりチェックする必要があります。

② 保険加入

日本では、スポーツクラブが加入している保険にすべての業務がカバーされており、フリーランスインストラクターには義務付けられていませんが、オーストラリアではインストラクターそれぞれ個人が保険に加入していなければなりません。レッスンの参加者に万が一の怪我があった場合と器物損壊をカバーするものです。採用を受ける前に保険の証明書コピーの提出を求められます。

③ CPR (Cardio Pulmonary Resuscitation)

心肺蘇生法の基本のライセンスです。日本でもインストラクターは講習を受けますが、スポーツクラブ側が更新の確認をしないので、期限が切れたままになっている人が多いのではないかと思います。しかし、オーストラリアのスポーツクラブでは毎年きちんと更新されているかの確認のためにコピー提出を毎年求められます。

オーストラリアのスポーツクラブでインストラクターになるためには、この3つが必須です。e0553c8e780eb3ca8e8870a51181ea0a_s

ゴールドコーストでフィットネスインストラクターになるまでの軌跡

8年前、日本で出会ったオーストラリア人の夫に付いてゴールドコーストに移住しました。

初めの年、私は TAFE (Technical and Further Education) というオーストラリア政府が運営する移民用の英会話プログラムに通っていました。

新しい世界と言語に慣れるのにとにかく必死でした。

そのプログラムの一環として、スポーツジムに2週間、職場体験に行ったのですが、そのとき私が任された仕事は館内の掃除だけでした。

今考えると、英語もままならない人間に受付業務や事務作業などさせるわけがなく、当然のことだったのですが、日本で11年間フリーランスインストラクターとして仕事に就いてきたというプライドもあって、帰宅して悔し泣きした日もありました。

そのプログラム終了後は、いろいろなスポーツクラブに履歴書を送ってみたものの、かすりもせずスルーされてきました。日本みたいに書類選考不採用通知すらもらえません。

日本でのインストラクター採用までの順序は、

①履歴書を送る

②オーディションを設定してもらう

③オーディションを受ける

④採用

(①すでに公にオーディション日程が発表されている→②履歴書を送る、と①と②が前後することもあります)

が普通なのですが、ここではなぜかスポーツクラブのオーディションなんて聞いたことがありません。ゴールドコースト以外ではあるのかしら・・・

そんな状態なので、どうやってスキルを見てもらえるんだろう?クラブ側はどうやってインストラクターを採用しているんだろう?それがずっと疑問でした。

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そういう情報はTAFEでは得られず、自分で体験していくしか方法はありませんでした。

スキルを見てもらう前の段階で相手にされていない、見てもらいたいのに同じ土俵にすら立たせてもらえない、そんな悔しさから、何度も「もういい!そっちから、うちに来てレッスンしてくださいって頼んでくるようなインストラクターに絶対なってやる」なんて、おこがましくも思ったものです。

この業種はブランクが長ければ長いほど、インストラクターとしての勘が鈍っていき、復帰がしにくくなります。

そんな焦りから、スポーツクラブに受け入れてもらえないなら、自分でレッスンを開くしかないと、当時通っていたサルサダンススタジオのオーナーにお願いして、そのスタジオでサークル的なレッスンをなんとか開かせてもらうようになったのが移住してから2年後のこと。TAFEの数人のクラスメートがサポートしてくれました。

その後、スタジオからコミュニティセンターに引っ越して、Facebookのビジネスページを作り、レッスン風景の動画を投稿しつつ、なんとか細々とサークルレッスンを続けていたら、

移住してから4年半経ったある日、お客様の一人が推薦してくださり、スポーツセンターでレッスンを担当させてもらえることになりました。完全なコネ採用でした。初めての海外の民間スポーツクラブでのインストラクターとしての仕事でしたが、クラブのカラーに合わなかったのともらった時間帯が悪く、うまく集客に結びつかず、6か月で退きました。

このときちょっと落ち込みはしましたが、コミュニティセンターでのレッスンはしっかりやっていこうと諦めずに継続していました。

この頃になると、人の代行を受けるようになり、周りがけっこう見えてくるようになっていました。どうも・・・既存のインストラクターがそのスポーツクラブで働けなくなると、自分の知っているインストラクターをクラブ側に紹介して繋いでいっているようなんですよね・・・コネ社会です。

私は一人で行動するのが好きな性分で、インストラクターの横繋がりやコネというものが嫌いでしたので、その後は周りを見ないようにしてインストラクター業を続けていきました。

移住して6年目のとき、私のYouTube動画があるスポーツクラブのボスの目に留まり、うちでレッスン担当しないか?と声をかけてもらえました。2度目の仕事のオファー。このクラブでは所属して2年経った今でも働かせてもらっています(ゴールドコースト、サウスポートのスポーツジム)。

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そして、移住して8年目の今年、冒頭で触れた新しくオープンするスポーツセンターから、

この国に来て3度目となるオファーをもらいました。

仕事が始まってからまたご紹介させていただきます。

結論として、

・ここでは、オーディションはやらない

・けっこうコネ社会である

横繋がりやしがらみに耐性のある人はコネをバンバン使うこと。

・コネがない、またはそんな繋がりが嫌なら自分から売り込め!

履歴書をemail添付するとき、自分のレッスン風景の動画も添えること。

・英語力に何の問題もない人は、履歴書を携えて直にスポーツクラブに乗り込め!

日本のようにアポなしの突然の訪問は非常識だと思われることはないので、英語できちんと自分をアピールできる自信のある人は直接行くと熱意が伝わって印象が良いよう。しかし、そのクラブのマネージャーかスタジオレッスンのスーパーバイザーが出勤している日でないと無駄足になる可能性があるため、事前の調査が必要。

・SNSを駆使しよう!

Facebook、Instagram、YouTube、その他なんでもいい!とにかくいろいろマメに動画を投稿。どれかはヒットするかも。Google検索で上位に上がってくるような英語のブログやら動画やらを狙え!

ちなみに私は、日本を離れるまではパソコンにほとんど触れたことのないアナログな人間でしたが、ゴールドコーストに来てからはアナログでいたら、何も先に進めないことが判明したので、地道にいろんなことを手探りで覚えていきました。

パソコンに強い人であれば、この部分の時間が省略されると思います。SNSを駆使していろいろな角度から自分を表現してみたらいいと思います。

それから、今年に入って初めて知り得た情報なのですが、

英語に問題がないことと上記の3つの必須条件(Certificate 3 in FitnessとCPRを所持していること、保険に加入してること)を満たしていれば、ワーキングホリデーでもスタジオインストラクターとして働くことができるようです。

そんなところでしょうか。

オーストラリアでの採用で嬉しいことは、年齢で差別されないことです。

日本では40代以降のインストラクターは肩身が狭くなってきますよね。スポーツクラブ側も低コストで雇える人材、つまりインストラクターになりたての若い子を採用したがります。

オーストラリアは年齢を聞いてこないし(法のもとで年齢差別をしちゃいけないことになっているからです)、むしろできあがってる人材、即戦力を求めてくれるような気がします。

また来年から新たな自分との戦いが始まりますが、頑張っていこうと思います。

私はこのような流れを手探りで8年やってきましたが、これから目指す方にはもう少し近道してもらえたらなという思いで綴りました(笑)。